マツダ、ロータリーエンジン使う航続距離延長は中止
マツダがロータリーエンジンを利用した航続距離延長装置(レンジエクステンダー)の開発を中止し、プラグインハイブリッド車(PHEV)とハイブリッド車(HEV)の開発に力を注ぐ方針に切り替えたことが分かった。電池容量を小さくし、車両価格を抑えることを重視したとみられる。
2022年前半に、小型の多目的スポーツ車(SUV)「MX-30」のPHEVを投入する。MX-30には電気自動車(EV)モデルがあるが、電池容量は35.5キロワット時(kWh)、EV航続距離は約200キロメートルと比較的短い。かねてレンジエクステンダーを採用し、長距離走行時の消費者の不安を取り除くのではないかとみられていた。
MX-30をレンジエクステンダーEVではなくPHEVにすると、エンジンの高出力化とともに動作頻度が増えるものの、コストが高い電池の容量を抑えられる。一般に、PHEVの電池容量は10kWh前後である。低価格化しやすく、消費者は購入しやすくなる。
また自動車の製造から廃棄までのライフサイクル全体で見たときの環境性能面において、電池は現時点で製造時の環境負荷が高いとされる。電池容量を小さくすると、製造時の環境負荷を抑えやすい。
マツダは18年にロータリーエンジンを使った「マルチ電動化技術」を公表した。当時はレンジエクステンダーEVとPHEV、HEVの3種類を開発するとしていたが、そのうちレンジエクステンダーEVの投入をやめて、PHEVとHEVに注力する。ロータリーエンジンを使ったHEVについては、25年までに投入する計画である。
なおロータリーエンジンの搭載計画があるのは、「スモール」と呼ばれる小型車向けプラットフォーム。今後投入する計画がある「ラージ」と呼ばれる中大型車向けプラットフォームについては、ロータリーエンジンの設定は予定していない。
(日経クロステック 清水直茂)
[日経クロステック 2021年6月28日掲載]
関連リンク
関連企業・業界